洋梨のピュイダムール

11月のお菓子教室・自由クラスのメニューは「ピュイダムール」。
ピュイダムールは「愛の泉」という意味。
書いてて照れちゃいますね〜。(なんで??・笑)
このなんともロマンティックな名前のお菓子は
フランス伝統菓子のひとつで18世紀にパリのお菓子屋さん
ストーレー、ブルダルー、コクランで創られたもので
名前の由来はオペレッタに由来した…とも
実際にそんな名前の井戸がありそれに由来したとも言われています。
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オーソドックスなピュイダムールはフィユタージュで作ったパイのケースに
クレームパティシエールを詰めて表面をキャラメリゼしただけの
とてもシンプルなものだったとか…。
でも時代と共にアレンジも増えてきてフルーツを組み合わせたり
中に詰めるクリームをクレーム・シブーストにしたりディプロマットにしたり
クレームパティシエールをシロップでのばしたり…。
随分色々なピュイダムールを見て来ました。

ピュイダムールを乱暴に総括すると
タルトやパイやシューなどのケースにカスタード味のものが入っていて
表面がキャラメリゼされているもの。という感じかな?と言う印象です。
前置きが長くなってしまいましたがそんな感じで
私のお教室のピュイダムール作りが始まりました。
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今が旬の洋梨を使って作ることにしました。
洋梨はとっても香りのいい美味しいフルーツですが
お菓子のパーツとして使うときに今ひとつ主張の控えめなところが
上品でステキでもあり、物足りなくもあるちょっともどかしい素材。

その洋梨の骨格をしっかりと支えてくれるのがこのお酒。
「オードヴィードポワールウィリアムス」です。
日本で入手しやすいポワールウィリアムスは
アルザス地方のG.E.マスネ社のものが有名ですね。
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でも私が使っているポワールウィリアムスはロワール地方のもの。
長い人生のたった数年を過ごしただけなのにすっかりロワール贔屓の私。
このポワールウィリアムスは良く週末を過ごしたオルレアン郊外の家の
ロワール河をはさんで対岸のオリヴェ村で作られたものです。
ロワール地方はアルザスに負けないフルーツ天国なんですよ!(言い過ぎ)
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どうやってボトルの中に洋梨を入れたの?と疑問に思いますよね。
私もここの畑に行くまで不思議でなりませんでした。
これは結実したまだ小さな実をこのボトルの中で育てるのです。
洋梨の樹にボトルがなっているなんとも不思議な光景。

でもこの洋梨ちゃん「私を長持ちさせたいならいつもオードヴィーの中に
私を浸しておいてね。」とボトルの裏でお願いしているのです。
洋梨に語らせるあたりがなんとも可愛らしくますます好きになっちゃいます。

洋梨がボロボロになるまでこのボトルのお酒を使い終わったら
新たなポワールウィリアムスを加えれば洋梨からもまだエキスが出るし
この洋梨も傷まずに保存できるのだそうです。

もうなかなか本題に辿り着きませんねぇ。
だからウチのピュイダムール、
主役をこの洋梨に張ってもらおうと決定してから妄想が始まりました。

フォンサージュする生地は何にしよう?
このバター不足にフィユタージュは有り得ないし、贅沢に使うバターが
きっと主役の洋梨をかすめてしまう気がします。
かといってパートシュクレだと甘さが気になる…。
今回はパートブリゼとパートシュクレの中間のような生地で
しかもバターの量をかなり抑えた生地を使ってみました。

この生地が扱いやすい上に軽くて美味しくて大正解。
空焼きした後、クレームフランジパーヌと洋梨を詰めて
タルトブルダルーのような構成にしました。
これはこのお菓子を作ったお店の1つと言われている
ブルダルーへのオマージュです。
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洋梨はポワールウィリアムスとバニラの香りを付けてエチュベにしました。
このクリームをのせる前の焼き上がったタルトレットブルダルーだけで
試食をして「こ、これおいしーい!」とちょっと有頂天。
試食なのにぱくっと1つ平らげてしまいました。

トップはもちろんクレームパティシエール味でなくてはなりません。
焼き込んだ洋梨だけでは洋梨が主役とは言えません。
かといってポワールウィリアムスだけに頼るのも安易すぎるし…。
クレームシブーストにしたらこの構成、ただの洋梨のシブーストです。
(でもそれは絶対に美味しいんですけどね…。)

シブーストに傾きつつある気持を抑えつつ思い付いたのが
このクリームでした。
洋梨のピュレとクレームディプロマットを混ぜ合わせてみました。
結果は大満足!
洋梨の控えめな優しい持ち味とポワールウィリアムスの香りを
クレームディプロマットがコクを足してまとめてくれました。
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洋梨の風味を生かしたいのでキャラメリゼは控えめに。
…出来上がったお菓子を試食します。
「!!どうしよう、私ったらすんごいものを作ってしまった!!」
と一人キッチンで踊り出しそうなくらい、私好みの味に仕上がりました。

これは今年私が作ったレシピの中で今の所ナンバーワンです。
しかもたった1回の試作で手直しなく出来上がっちゃったのです。
もぉ〜!そんなことって滅多にないので有頂天です。

試食だったのにあんまり気に入って2ヶ食べてしまったので
この日私は土台だけのものを含めると3ヶも
このお菓子を食べてしまいました。
このお菓子、沢山のパーツを作らなくてはならないので
決して楽なお菓子ではありませんが、生徒さん達の評判も良く
それも嬉しかったです。

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