2015/8/24 月曜日
8月のお料理教室
8月のお料理教室も無事開催出来ました。
暑い中わざわざいらしてくださる皆さまに本当に感謝です。
今月のセッティングはこんな感じにしました。
グラスの横にあるのはバターを取り分けてもらうためのお皿。
いつもはガラスの食器を使っているのですが、今月は気分を変えて
赤絵の豆皿をセッティング。
少し渋めのクロスと合わせてみたのですが
たったこれだけでなんとな〜く和風になるのはすごいですね。
恐るべし、ニッポンの朱!!
お花は花火のような咲き方をするきれいなグリーンの菊にしました。
そう、今月のテーマは「和」です。
しかも「海外で外国人におもてなしをする和風の料理」がテーマ。
私から本格和食を習いたい方もいらっしゃらないでしょうし
第一そんなの無理!!!ですもの。
さて、このテーマには訳があります。
ずっとブログを見てくださっていたイギリス・湖水地方在住の方から
夏の間2ヶ月ほど一時帰国をしている間だけお教室に行くことは可能ですか?
とお問い合わせをいただきました。
勿論、大歓迎!とお返事をして7月のお教室にご参加くださった時に
あちらでイギリスでも作れて、イギリス人にも食べやすい和風のおもてなしに
困っている…とご相談を受け、じゃあ毎年夏はエスニックメニューに
してるから、8月は和風なテイストを入れてメニュー作りをしますね!
な〜んて安請け合い。そこから結構大変でした。
色々考えて応用の効きそうな、そして外国人の方も食べやすい…
向こうの食材で代用可能、又は入手可能そうなものを選んでみたら
こんな風になりました。
野菜と帆立の昆布締めのヴェリーヌ
Verrine de legumes et Saint-Jacques marinee au Kombe
…そもそもフランス語にする意味あるのか??と思いつつも
いつもメニューにはフランス語名を添えているので一応ね…。
アスパラ・人参・ベビーコーンなどを帆立の貝柱と共に昆布締めにして
出し汁のジュレと共にグラスに入れたヴェリーヌ仕立てです。
和食が世界遺産に登録され、出汁などの旨味はそのまま「umami」と
表現される今日この頃。昆布締めにした野菜には旨味がたっぷり!
そしてお出汁にはほんのり薄口醤油の香りも加え
ギリギリのゼラチンで固めました。
「おもてなし」ですからジュレ仕立ての一手間を加えましたが
お家のごはんなら普通に液体のまま、冷や浸しで良いと思います。
この前菜は意外に思われるかもしれませんが、バターを塗ったパンとの
相性が抜群なのです。
昆布や出汁とバターはなかなか良いマリアージュをしてくれます。
牛肉のすき焼き風・生姜ごはん添え
Boeuf caramelise facon sukiyaki
et riz au gingembre
こんな風に盛り付けると洋風になるからおもしろいですね。
すき焼きの味の構成のまま、牛の塊肉を煮込みました。
ちょっと写真が暗くて見えにくいのですが、使った野菜は
玉ねぎ・春菊・椎茸です。
春菊はまだ難しいかもしれませんが、椎茸はかなりヨーロッパでは
市民権を得てきたきのこで、パリのマルシェでも入手可能。
でもまだまだ高価なのでマッシュルームや季節の手に入りやすいきのこで
代用すればいいと思います。ポルチーニのフレッシュとか美味しそう!!
春菊はほうれん草にしてもらうしかないかなぁ…。
すき焼きと言えば私の中でネギは長ネギでした。
でもポワローに置き換えたくないと思ってちょっと悩んでいたのですが
去年の秋にひょんな事からご同業の若山曜子さんのお宅で
「関西風の松茸すき焼きを作ってもらう会」をしたときに
若山さんが大振りにカットした玉ねぎをすき焼きに入れていて
それにびっくりしたのですが、それがと〜〜〜っても美味しかったのです。
それを思い出して歯応えの残る玉ねぎを加えることにしました。
合わせた生姜ごはんは炊くときに昆布締めに使った昆布の一部を使って
お米にもほんのり昆布の香りを移します。
生姜ごはんは少し固めに炊きあげてお肉料理と合わせました。
寒天豆腐のほうじ茶シロップ
Gelee a Agar-agar et tofu avec sirop au hojicha
寒天の中にお豆腐を閉じ込めた寒天豆腐は江戸時代からある
伝統的な江戸料理です。
寒天ゼリーは無糖ですので、辛子醤油と合わせれば前菜にも使えます。
今回はほうじ茶の香りを移したきび砂糖のシロップでいただく
冷たいデザートにしました。
ポイントはこのほうじ茶シロップ。
同じ糖度でも砂糖を煮詰めたものと、砂糖の量を増やしてただ水に
溶かして作ったものとでは、砂糖の風味が違います。
キャラメルにはしたくないけれど、しっかり火を入れた砂糖の風味を
引き出したくて今回は砂糖を煮詰めてシロップにしました。
そしてほうじ茶の香ばしい香りは移すけど苦みやえぐみが出ないように
ほうじ茶の香りを移して、充分冷やしたものを添えました。
簡単なのにおいしーい!!と喜んでいただけて私も大満足。
そう、ウチのお教室の隠れテーマは「簡単なものを難しそうに見せる」です。
合わせたワインはこちら。
お盆と重なりいつもお世話になっているインポーターさんに
お願い出来なかったので、別の所で探したのですが
お出汁に合う白・すき焼きに合う赤はさほど難しいテーマではなく
美味しいワインに出逢うことが出来ました。
今月もご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
そして湖水地方出の再現、イギリスの方に喜ばれることを願っております!
最後にオマケ。
お教室の後にちょっとずつ余った食材などは私の夜ご飯になります。
また夜ご飯を見込んで少し多めに作らせていただいたものもあります。
前菜は和食器に盛り付けるとただの和食になりましたー。
メインはお肉が端っこで少なかったので、玉ねぎを増量
そしてポーチドエッグをのせてみました。
生姜ごはんはお茶碗に…。
ポーチドエッグ添え、なかなかますますすき焼き風でした♪
こちらは教室の翌日のごはん。
鯛の昆布締めの出し茶漬けです。
置くに写っているのは寒天豆腐で型抜きして余った豆腐と
野菜を酢橘と醤油で風味を付けたドレッシングで和えた和え物。
昆布締めの昆布、一度しか使わないの勿体ないですよね。
2〜3回は使えるし、またお出汁を引くときや、ごはんを炊くときに
再利用も出来るので、無駄にはならないです。
そんなわけで鯛の柵を買ってきて昆布締めにした後すりごまたっぷりの
タレに合わせて出し茶漬けにしてみました。
お教室で使った昆布はちょっと大量だったのでまだ使い切れてないので
1枚づつラップにピタリとくるみ冷凍してあります。
これはお出汁を取るつもりでいます。
食材を上手に全部使いきれるとやっぱり嬉しいものです。